松に鶴(1)

 正月の20点札、「松に鶴」。一般的には右上に初日の出も描かれます。

蓬莱山ニハ千歳経ル、万歳千秋重レリ。松ノ枝ニハ鶴巣食、巌ノ上ニハ亀遊

(『源平盛衰記』巻十七「祇王祇女」)長寿を予祝するめでたい今様。松は常緑樹で永遠の象徴(「巌」と対になっている)、鶴亀はご存知の通り長寿ですから、松と鶴の取り合わせの意味は、この線で了解されますね。
 君が代は千代に八千代に的なところがあるので、明治四十五年の歌会始では題にもなっています(「松上鶴」)。その際の天皇の御製。まるで花札の絵柄を詠んだかのような。

朝づく日 とよさかのぼる 山松の 梢をしめて たづそ鳴くなる

「たづ」というのは鶴の雅語です。