「漢風の本棚」解題(3)
今回が完結編です!
- 『謝霊運集』
李運富氏の注。あまり使ったことないですけど、悪い注ではないです。
- 『王粲集注』
これも結局あまり使わないですけど、類書が他にあまりないので。
- 『何遜集』
李伯斉氏『何遜集校注(修訂本)』を購入したのはちょうど昨年の今頃。本書はあまり使わなくなるでしょう。
- 『曹子建詩箋』
古直による曹植詩の注。読むのに少々骨が折れる。
- 『三曹詩選』
(1)で紹介した同名の書と違って、こちらは余冠英氏の選注。この2冊を読み比べてみるとわかりますが、実に似ています。プライオリティは本書にあります。
- 『朱自清・馬茂元説古詩十九首』
朱自清『古詩十九首釈』と馬茂元『古詩十九首探索』を収録。私がちゃんと消化できているのか自信がありません。
- 『古詩十九首集釈』
「考証」「箋注」「彙解」「評論」という構成で、「彙解」の部分に劉履『古詩十九首旨意』以下15氏の「古詩十九首」評釈が集成されており、ここが本書の眼目。
- 『魏文武明帝詩註』
黄節による文帝(曹丕)武帝(曹操)明帝(曹叡)の詩の注釈。『魏晋五家詩注』に入っていますので、ダブって買わないように気をつけましょう・・・
- 『阮嗣宗詩箋』
阮嗣宗は阮籍のこと。古直(前掲)による阮籍「詠懐詩」(八十二首)の注。ただし、架蔵本には落丁があって、第51丁裏、つまり第七十一首のところで切れてしまい、残りがありません。今後入手できそうな本でもないですし、仕方ないですね。
- 『魏晋南北朝小説詞語匯釈』
小説類や漢訳仏典に出てくる、主に俗語・口語表現を解説した辞書。魯迅『古小説鈎沈』を利用するなど本文に少し不安があり、また、今では類書も色々出版されているのですが、調べ物に役立つ一冊。
- 『六朝詩歌語詞研究』
漢魏六朝時代以降、主に韻文で用いられるようになった語を解説した辞書。冒頭の「概説」にも重要なことが書いてある・・・と思われるのですが、私ちゃんと理解しているかどうか。
- 『沈約集校箋』
「箋」はほとんどないですし、「校」も少々心配ですが、沈約の別集の校注は本書ぐらいしかないのでは。
- 『何遜集注 陰鏗集注』
陰鏗のまとまった注釈は本書だけではないかと思います。杜甫が「頗学陰何苦用心」と「陰(鏗)」「何(遜)」を併称していることで唐代での地位の高さを窺い知ることができますが、残存する作品数は少ない。
- 『六朝美文学序説』
「美文学」とは修辞を凝らした美文の作品。六朝時代の文学を一言でいうとそういうことになって、それを読むためのレッスン。実作の面では「ますらをぶり」の一派から攻撃の対象ともなるわけですが、修辞のない文学なんてありえないわけですから、今でも学ぶものはあると思う。『中国文章論 六朝麗指』(汲古書院)も参照。
- 『建安詩文鑑賞辞典』
使う機会がまだあまりないので、よくわかりません。
- 『賈誼集校注 増訂版』
本書で賈誼の佚文として「夏侯嬰伝」なる文章(『史記』夏侯嬰伝はこれをもとにしたとする)を『上虞夏家埠夏氏宗譜』なる書から補入していますが、これ大丈夫なのでしょうか。