「ほねとかわとがはなれるおと」

 「ひさしくなおらないやまい」やら「ほねとかわとがはなれるおと」



 事情を知らない人はこのツイートを見て「なんじゃこりゃー!」と思ったかもしれませんが、これは諸橋『大漢和辞典』の「字訓索引」を通覧したのでしょうね。

 「ほねとかわとがはなれるおと」の左右にも穏やかではない漢字がいろいろありますな!(肝心の「砉」字が潰れちゃった><)
 ただ、ここに列挙されているものは漢語の訓詁(語義)をやまとことばに和らげたものに過ぎないのであって、そのように実際にヨマれたものでは必ずしもないわけです。なので、これらを「読み仮名」と言ってしまうと、ちょっとね。
 たとえば、今回の「ほねとかわとがはなれるおと」の典拠は『荘子』(養生主)の、あの有名な庖丁が登場する箇所での「砉然嚮然」なのですが、この「砉然・・・司馬云、皮骨相離声」(『経典釈文』)という権威ある注釈を和語で説明しただけなのです。実際は音読みする(ケキあるいはカク)ほかなかった漢字でしょう。
 それにしても長くて怖いといえば、「わるくつよいいぬ」もなかなかのものではないでしょうか(私、犬が少々苦手でして・・・w)。

 こいつは悪そうだ・・・w(出典は『説文解字』十篇上・犬部。「狦、悪健犬也」)。すでに段玉裁が言及していますが、『広雅』によれば狼のことらしい。
 誤解がないようにいえば、「なんだ、これはただのネタか」と思うかもしれませんが、以上のことに注意さえすれば、大漢和の字訓索引を眺めることは大いに意味があるとは思います。