ヤブラン――古語では「やますげ」?――が咲いたよ

 先ほど覗きこんだら雨どいの下にいるヤブランがちょうど開花していたよ。

 うちの子は淡紫ではなくて白い。
 可憐な花なので先人も愛でたであろうと思うのですが、古典時代に何と呼んでいたのかがはっきりしない。『枕草子』「草は」の段にも登場する「山菅」(やますげ)が、それであろうというのが有力な説になっています。
 その根拠になっているのが『和名類聚抄』(草木部)の「麦門冬」の項目でして、源順はこの植物の和名が「夜末須介」(やますげ)だというのです。「麦門冬」は今のヤブランまたはリュウノヒゲのことかとされます(『和歌植物表現辞典』163頁)。写真で見るとたしかに実の形状は似ているので、その点で対応させられたのかもしれない。
 しかし、どうでしょうねー。『能因歌枕』には「正月」の景物としても出てくるものです(「校本「能因歌枕」」71頁)。博雅の御教示を乞う。