神代文字の蔵書印

 書こうと思っていてすっかり忘れていたネタをひょんなことから思い出しまして(現実逃避)。

・・・特に共通した趣味の表れているのは国学者の蔵書印である。その中でも文字の上にその傾向が特にはっきりと表れていて、神代文字のもの、仮名のものが多い。神代文字の蔵書印では賀茂真淵常世長胤・片岡寛光などのものが有名である。

小野則秋『日本の蔵書印』臨川書店、1977年。40頁)
 賀茂真淵神代文字による蔵書印とはこんな感じのものです。御覧になったことのある方も多いのではないかと。

 これは読めない。
 そのなかで『日本書誌学大系 増訂 新編蔵書印譜 中』(青裳堂書店、2014年)が常世長胤の蔵書印を解読して釈文を示したのは流石だと思いました。

 平田篤胤神字日文伝』でわざわざ確認したのでしょう。この一手間を惜しんではいけないという戒め。

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/ho02/ho02_04329/ho02_04329_0001/ho02_04329_0001_p0039.jpg)この字体にはいろいろなバリエーションがあるのですが、印文に一番近いのはこれかなぁ。
 なお、「サカキノヤノシルシ」の「サカキノヤ」は「栄木廼舎」です。 参照→宗源教大意 - 国立国会図書館デジタルコレクション