泰斗による日本古典文学注釈の文庫化

いろいろあって、なかなか寝付けないです。


それはそうと、あの伊藤博万葉集釈注』の待望の文庫版が、先日刊行されました。手頃な値段で、こういった名著を書架に置くことができて、素直に嬉しい。

伊藤博萬葉集釋注 一』(集英社 集英社文庫 2005年)
伊藤博萬葉集釋注 二』(集英社 集英社文庫 2005年)
伊藤博萬葉集釋注 三』(集英社 集英社文庫 2005年)
伊藤博萬葉集釋注 四』(集英社 集英社文庫 2005年)
伊藤博萬葉集釋注 五』(集英社 集英社文庫 2005年)
伊藤博萬葉集釋注 六』(集英社 集英社文庫 2005年)

「一」から「六」まで同日発売でした。次回配本は「七」から「十」で、一挙に完結(メモ:12月15日発売予定)。『別巻』は文庫化しないようですね・・・。
ご承知の通り、筑摩書房からは、西郷信綱古事記注釈』の文庫版(ちくま学芸文庫)が毎月一冊のペースで刊行中(メモ:次回配本、『古事記注釈 第四巻』は10月7日発売予定)。こちらも毎月楽しみにしています。*1
さて、古事記の注釈・万葉集の注釈と来たら、次は当然、日本書紀の注釈の文庫化ということになりますが、さて。
中央公論社中央公論新社)が、「中公クラシックス」シリーズの一環として『日本書紀』を復刊させたとき、現代語訳だけを収録したと噂に聞きましたが(実は「中公クラシックス」版は未見)、それが事実だとしたらその判断は大変まずかった。「日本の名著」シリーズの『日本書紀』はともかく、井上光貞監訳『日本書紀 上』(中央公論社 1987年)同『日本書紀 下』(同)が未だに古本屋で結構な値段で売られているのは、その巻末の「校異」が大変充実しているからだと思います。
今からでも遅くはないので、日本書紀の本文テキスト決定版を出すような意気込みで、「原文+校異」の部分の文庫化はいかがでしょうか、中央公論新社さん?手軽に持ち運べる日本書紀テキストが欲しかったところですし。大学の史学科でも教科書に指定されるだろうし、確実に売れると思うのですが・・・。

*1:追記 文庫版『万葉集釈注』は一部を除いて原文と注を掲げず、文庫版『古事記注釈』も校異を削除しているので、元版の価値が完全になくなったというわけではない。念のため。