衣(きぬ)・続

 「衣」を「ころも」とよむのは歌語で、散文では「きぬ」とよむのが原則。それは大筋では間違っていないと思うのですが、今年の曲水の宴の題「寄衣恋」の「衣」 - Cask Strength の件で id:kuonkizuna さんからいただいた御指摘で保憲女集に「衣」を「きぬ」とよむ例があると。わたしが保憲女集を通覧したところ、「いもがきぬ」の例を見出しました。今回、それを信頼できる注釈で確認しましたのでご報告です。

賀茂保憲女集・赤染衛門集・清少納言集・紫式部集・藤三位集 (和歌文学大系)

賀茂保憲女集・赤染衛門集・清少納言集・紫式部集・藤三位集 (和歌文学大系)

蛬(きりぎりす)かたなきすれば妹が衣(きぬ)しで打ちあはせ声となふ也

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