心は明時の為に尽くせるに
さきほど宋・葉夢得『避暑録話』をつらつらと眺めていましたら(避暑録話 - 维基文库,自由的图书馆)、宋代の民間教育の一齣をうかがい知ることのできる記事があって興味深かったので、ご紹介します。
村校中教小児誦詩、多有「心為明時尽 君門尚不容 田園迷径路 帰去欲何従」一篇、初不知誰作。大観間三館曝書、昭文庫壁間有敝篋、置書数十冊、蠹爛幾不可読。発其一、曰『玉堂新集』、載此篇、乃幽求「詠懐」作也。
当時、多くの村校で児童に暗誦させていた詩があって、はじめは作者が誰なのか分からなかったところ、曝書の最中に見た『玉堂新集』という書のなかにその作品が収められていて、劉幽求の「詠懐」という詩であるとわかったという。
心は明時のために尽くせるに
君門はなお容れず
田園 径路に迷う
帰り去らんに いずれよりせん
この太平の世のために心を尽くしているというのに、君主は受け入れてくれない。田園のなかで道に迷い、帰ろうとしてもどこから行けばいいのか。