延暦十七年二月十四日太政官宣「令読漢音、勿用呉音」

 今月末のワークショップのための準備をしていて見かけたのですが。

中国古典の解釈と分析: 日本・台湾学術交流

中国古典の解釈と分析: 日本・台湾学術交流

清家文庫本『大学章句抄』(請求番号:1-66/タ/3。登録番号:926379)、第2葉にも「大学、スンテヨムヘシ。桓武天皇延暦十七年二月十四日ニ勅ヲ下シテ、五経ヲハ漢音ニヨムヘシト也」とある。ただし、文中の「十七年」は「十一年」の誤。

(179頁)
 十一年の誤りである、というのは、『日本紀略延暦十一年閏十一月辛丑(二十日)条、

勅。明経之徒。不事習音。発声誦読。既致訛謬。宣熟習漢音。

(新訂増補国史大系日本紀略前篇』266頁)を念頭に置いていらっしゃると思うのですけど、そう言っていいのかどうかは微妙な点がありまして、こういった抄物関係に出てくる「延暦十七年」の漢音に関わる法令というのは、以下の「延暦十七年二月十四日」のものをふまえています(赤枠線内)。

京都大学図書館蔵『史記抄』巻九・六ウ http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/s085/image/09/s085s0563.html
 一応、参考までに。
 ちなみに、『史記抄』巻九の冒頭からしばらく漢籍受容史の話が続いているので面白いですよ。