http://www.yomiuri.co.jp/culture/20140526-OYT1T50141.html
英国の女性絵本作家で、人気絵本「ピーターラビット」シリーズの作者、ビアトリクス・ポター(1866〜1943年)の少女時代の水彩画に、幕末の浮世絵師が手がけた絵手本(えでほん)が描かれていることが分かった。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20140526-OYT1T50141.html
日本とのなじみの深さが今回改めて判明したわけですが、この「ピーターラビット」も意外と早く日本に紹介されています。
松川二郎「悪戯な小兎」(『日本農業雑誌』第2巻第3号、1906年11月5日)です。
エロプシーと言ふのを、人間の言葉になほしますれば、駈落者といふ意味で、モプシーは終始ふて口をして居る仏頂面、コツトンテールは木綿の尾、ペターは旋毛曲の我儘者と言ふ事になるのですけれども、駈落者だの木綿の尾だのと言ふのは、余り可笑しく過ぎて人の名のやうでは――否サいくら兎としても、斯な名は冗談めいて居て、真実の名のやうには思へませぬから、矢張りエロプシーとかコツトンテールとか、兎仲間の言葉の儘で呼んで置くことに致しませう。
終始こんな調子です。最高に面白いです。
兎たちは元の名を残してもらえているのに、マグレガーさんは「杢平(もくべい)爺さん」になっているのも実に味わい深い。
ピーター(ペター)の口調はといえば、
こういふ好味いものが、訳(ママ)山あるのに、下等な木苺なぞを採りに行く、己れの兄貴達は、大分旋毛曲りだ哩。と旋毛曲りは、何処までも旋毛曲りの考へを持つて居るから面白い。
(61頁)
此の広い畠に、和蘭芹だけ無いとは可笑しいナ、何を差し措いても彼れだけは作らなければならぬ物だのに、杢平爺奴め大分耄碌したと見えるな
(同上)
これは痛い目に遭っても仕方あるまいw(まあ、話の後半は少しかわいそうですが)
というわけで、御一読をお勧めいたします。