龍粛『鎌倉時代』の文庫版に収録されなかった「年表」

 名著が文庫化されました(抄録)。

鎌倉時代 (文春学藝ライブラリー)

鎌倉時代 (文春学藝ライブラリー)

 残念だったのは、文庫化にあたって、原著上下両冊の巻末にあった「年表」が省略されたことです。これは一体どうしたことか。この「年表」の存在が原著の価値を1.2倍は高めている(当社比)のに。まあ、スペースの問題だとは思いますが。
 上下巻それぞれの12〜13頁(承久三年〜寛喜二年)の部分を御覧ください。


 要するに、補任表になっているのです。歴史事典等にも同様の試みはあるのですが、「連署」や「女院」、「院司」や「関東申次」などの補任までもが備わっているものは珍しく、非常に便利です。
 上巻は天皇院政・摂政関白・将軍・執権・連署・侍所別当・京都守護・北六波羅守護・南六波羅守護・公文所別当問注所執事・公事奉行人等、幕府が漸次設けた主な重職。つまり、鎌倉幕府の職制を中心にとりあげています。下巻は、天皇・先皇・院政東宮・皇后・中宮女院・摂政関白・太政大臣左大臣・右大臣・内大臣・院司(院庁別当)・新置職制・関東申次・将軍・執権。朝廷側の役職を主に扱っています。
 原著は古本屋で結構な値段がついているので購入を躊躇する人も多いと思いますが、鎌倉時代のことを授業で学んでいる学生、あるいは、鎌倉時代の研究を志している若い大学院生は、図書館で借りてこの年表の部分だけでもコピーして仮綴じするなり、スキャンしておくなりするといいでしょう。
 訂正・補足を施しながらご利用ください。