「列島古本街めぐり」(『ヨミウリ ウイークリー』誌)――古本検索サイトの賢い使い方

『ヨミウリ ウイークリー』10月2日号の記事ですが、以下の古本検索サイトが紹介されています。

  1. http://www.ubook.co.jp/
  2. 資格取得、もっと知りたい、学びたいを応援します - 学校・資格・勉強のサイト
  3. 古本・DVD・CD・ゲームのネット買取・通販サイト ネットオフ
  4. InterBook絶版七つ森/InterBook紙背人の書斎
  5. arcam-b.com - このウェブサイトは販売用です! - 古本漫画全巻 リソースおよび情報
  6. 502 Bad Gateway
  7. 古本の店 リサイクルブック
  8. http://www.amazon.co.jp/

驚くべきことに、以下の重要なサイトが抜け落ちているので、ここで補足します。「日本の古本屋」は定番のはずですが。

  1. 日本の古本屋
  2. http://www.book-kanda.or.jp/asp/search2002.asp

今までこういったサイトを利用したことがない人向けの記事だったようで、簡潔で要を得ていると思いましたが、常日頃から利用している一人として、検索にあたってのちょっとしたアドバイス
  1 類似した字・異体字・旧字(新字)・変換ミス、これらを念頭に置いた検索を
例えば、林古渓『懐風藻新註』という名著があります。正式な書名は「ごんべん」の「註」で、「さんずい」の「注」ではありません。「註」も「注」も同じ意味なので、しばしば混同されるのですが、上述の古本検索サイトの多くは、「註」と「注」を別の字と認識してしまいます。
これがどんな問題を引き起こすかというと、古書店側が検索サイトに書籍目録をアップする際に、「懐風藻新註」ではなくて誤って「懐風藻新注」とデータ入力してしまった場合、ユーザが「懐風藻新註」で検索しても、「懐風藻新注」は検出されないことになるのです*1。 実際、日本の古本屋 で「懐風藻新註」と「懐風藻新注」の双方で検索をかけてみてください。両方ともヒットするはずです(16日20:30現在では確認できましたが、もちろん、売り切れてしまっていたら、この実験は無意味です・・・)。
比較的古い時代の本を探している場合は、旧字と新字も考慮に入れる必要があります。例えば、「続国訳漢文大成」シリーズに収められた本を探している場合は、当然、「續國譯漢文大成」でも検索しなくてはいけないわけです。手間はかかりますが、本当に欲しい本であれば、これくらいは努力しましょう。
一番問題なのは、書店側のデータ入力で発生する変換ミスです。しかも意外と多い。例えば、『日本書紀』。普通のワープロソフトなら「にほんしょき」で正しく一発変換できるはずなのですが・・・。そこで、日本の古本屋 で、「日本書記」(「紀」ではなくて「記」)を検索してみてください。
探している本が発見できなかったとしても、諦める前にあらゆる事態を想定して、再度挑戦してみてください。意外なかたちでヒョッコリ現われたりするものなのです。
  2 スペース無し?半角?全角? とりあえず試してみよう
特に著者名検索で当てはまること。例えば、著者検索で「森鴎外」とやると大量にヒットするわけですが、実は、これでも目録に存する「森鴎外」作品の一部に過ぎません。著者名検索をする場合は、「森 鴎外」とスペースを空けての再検索をお忘れなく。少なくとも、私が一番お世話になっている、日本の古本屋 や 資格取得、もっと知りたい、学びたいを応援します - 学校・資格・勉強のサイト では、スペースも文字として認識してしまうので、これは欠かせない作業です。書店によるデータ入力に際しての統一基準が求められるところ。
さらに厄介なことに、日本の古本屋 では、半角スペースと全角スペースも別字扱いです。データベースは日本最大級を誇るだけに、この不便さは大変惜しまれます。ですから、もし「森鴎外」作品をデータのなかから完全に探そうと思ったら、「森鴎外」「森 鴎外」(半角)「森 鴎外」(全角)を試す必要がある・・・そして、言うまでもないことですが、「森鴎外」の場合は、「森鷗外」「森 鷗外」「森 鷗外」もやっておきましょう。
こういった不便さを解消するためには、「前方一致」「部分一致」検索を利用するのが手っ取り早い。「懐風藻新註」であれば、「懐風藻新」で検索する、「森鴎外」であれば、「鴎外」「鷗外」で検索する、と。ただ、「部分一致」検索などは、時間帯によっては結果表示にかなり手間取ったりしますし、探している本とは別のものを大量に拾ってくることもあり、これはこれでストレスの原因になります。

*1:その点、http://webcat.nii.ac.jp/ これは大変便利な図書検索システムを採用しており、「懐風藻新注」でも「懐風藻新註」でも「懐風藻新註」を検索して表示します。異体字や旧字・新字を正しく認識しているわけです。