『李太白文集(一)』

 今日ようやく一見を得たのですが、内容は、静嘉堂文庫所蔵の宋本『李太白文集』の影印でした。つまり、平岡武夫編『唐代研究のしおり 第九 李白の作品』と同じということになります。ただし、『李太白文集(一)』は縮小率が約74%と大きく、文字が非常に鮮明なのが大変有難いですね!
 ところで、上掲『唐代研究のしおり 第九 李白の作品』には、印刷が不明瞭な箇所について文字を補った一覧表を附録にしています(45-48頁)。で、『李太白文集(一)』にも同様の「不鮮明箇所一覧」(389-395頁)があって、文字を補っているのですが・・・。

4 7b 3 同居長干里両小無嫌猜十

*1これが『李太白文集(一)』では、

同「居長千里両小無嫌猜十四焉」

*2とあって、「長干里」と「長千里」という違い。写真(144頁)を見ると、たしかに微妙な字体ですが、これは「長干行」という詩で(「長干」は地名)、問題の句は

同居長干里
両小無嫌猜

――長干の里に同居す、両小嫌猜無かりき――となるのですから、やはりこれは「干」字でしょう。だとすれば、『李太白文集(一)』の「不鮮明箇所一覧」の誤り(誤植)なのか、あるいは、原書が「千」に誤刻していると判断したのか。

*1:「4 7b 3」とは、第四巻の第七葉裏の三行目

*2:「 」内が不鮮明字