「「あけましておめでとう!」昭和初期の年賀状画像特集」のうちの2枚の出典

「あけましておめでとう!」昭和初期の年賀状画像特集(1910年代〜) : カラパイア
 いいですね〜味わいがあって。絵としてのセンスもさることながら、このうちの2枚、「ポケモンみたいなウサギ 1951年」と「ウサギと虎、1915年」が古典を引用しているのもステキです。


 ポケモンの方は「賀/有兎/爰々/国風/辛卯元旦」とありますが、これは『毛詩』(王風・兎爰)の冒頭の「有兎爰爰」(兎はのんびりとしている)という句を引いたもの。のんびりと気ままにしているけど、かえってそのおかげで罠にかかることもない。この世は難儀なことばかりだから、寝たまま目覚めず、動かず、何も聞かずにいたいなぁ、という詩。
 虎と兎のものは、二つの謡曲の詞章を引いていて、虎のほうには「また竹林に/飛帰つて」。これは「龍虎」の最後のほうで、龍が空にのぼっていくのを悔しそうに見送った虎が「また竹林に飛び帰り、又竹林に飛び帰て、そのまま巌洞に入りにけり」の部分。虎の退場ということで、寅年から卯年への交代にふさわしい。
 それに対して、兎のほうは「月海上に/うかむでは」。これは「竹生島」の一節なので御存知の方も多いかもしれません。「月海上に浮んでは、兎も波を走るか、面白の島の気色や」。波に映る月を見れば、その月のなかの兎も波を走っているようではないか、ということ。
 軽妙洒脱な引用の仕方でして、こういうさりげない教養のなかに昔の人たちはいたのですね。