京都大学図書館蔵(平松文庫)『三体詩』が『三体詩』ではない件

 http://m.kulib.kyoto-u.ac.jp/webopac/ufirdi.do?ufi_target=catdbl&ufi_locale=ja&pkey=RB00006443
 「高士奇」編とあるので、高士奇注『三体詩』(『三体唐詩』)のことかと思ったら中身は全然違いました。
 http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/h570/image/01/h570s0001.html
 外題は「三体詩」と。
 小さな冊子ですが、二つの部分に分かれており、前半は「春部」の題のもとに「春」字を含む熟語を掲出していて、そこに注が付されている。
 「傷春【何橘潭詩格第一】惜春【東坡同上第二】・・・」以下、ここに列挙されている熟語は全部『聯珠詩格』に収録されている詩題です。注の部分は、作者と巻の注記。
 後半には「春雪部」とあり、七言絶句が五首引用される。(趙彦昭「奉和聖製人日翫雪応制」、劉憲「奉和人日翫雪応制」、同「奉和聖製游苑遇雪応制」、徐彦伯「人日遇雪応制」、沈佺期「奉和春日翫雪応制」)
 問題はこの後半部分です。筆者がこの五首の詩をどこから抄出したのか、にわかの調査ではちょっとわかりませんでした。
 『古今歳時雑詠』か『文苑英華』、あるいは時代が下って『淵鑑類函』か『佩文斎詠物詩選』あたりかなーと見当をつけてざっと見てみたのですが、どれを見ても作者名(例のごとく、沈佺期の作なのか宋之問の作なのか)や詩題に異同があって完全に対応するものがない。各種データベースをいろいろ検索しても埒が明かなかった。
 二種以上の本をとりあわせたのかもしれませんけど、何でしょうね。いずれにせよ不思議な本でした。あるいはすでに研究があるかもしれません。御教示を乞う。