古典和歌をこれから読む人が予備知識のために読んでおきたい5+1冊
大学新入生、あるいは勇退されて四月から自適な生活を送っている団塊の世代の方々。この季節はきっと「〇〇を読んでみよう」という心意気を持った人が増える時期ですよね。古典和歌の場合は、『ちはやふる』などを読んで関心を持った方々も多いのでは。
私は和歌を専門的に勉強してきたわけではありませんが、自分なりに試行錯誤したことがあって、少しは役に立つかもしれないと思い、今年度は、古典和歌をこれから読もうとする人向けの入門書的な本を紹介いたします。書き方がやや上から目線になってしまうのは、こういう文章にはある程度仕方のないことなのでご容赦を。
まずは+αの1冊から。これは要するに、古典和歌に限らず、文学作品を楽しむのであれば目を通しておいたほうがいい1冊だという心づもりです。
- 作者: 佐藤信夫
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/06/05
- メディア: 文庫
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- 作者: 渡部泰明
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/07/22
- メディア: 新書
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- 作者: 小林幸夫,鈴木健一,錦仁,品田悦一,高田祐彦,渡部泰明
- 出版社/メーカー: 三省堂
- 発売日: 1997/11
- メディア: 単行本
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中高の国語の授業内の説明で、和歌特有のレトリックたとえば「縁語」とは何か皆さん理解できたでしょうか。「枕詞」がなぜ使われたのか納得したでしょうか。是非その意味を再確認してみてください。
『【うた】をよむ』の第四章「一首をよむ」は特に見逃せません。上代〜現代を6つの時代に分け、それぞれの時代の作品を1首選んでそれを詳しく評釈するもので、専門家が三十一字の小宇宙を相手にどのように格闘しているのか、その舞台裏が垣間見えて参考になります。
- 作者: 西村亨
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1979/12
- メディア: 文庫
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- 作者: 尾崎左永子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1987/07
- メディア: 文庫
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本書が和歌の参考書として挙げられることは少なく、それもそのはずで、表題通り、本書は『源氏物語』に出てくる手紙のやりとりの場面を主にとりあげるエッセイだからです。しかし、恋歌は、現実の王朝世界では贈答歌というかたちで詠まれることが多く、その贈答歌は手紙でやりとりするのが普通です。なので、手紙の場面を読むというのは、ほとんどの場合、恋歌のやりとりの場面を読むのと等しい。そして『源氏物語』は恋歌の宝庫。恋の贈答歌だけでなく、王朝時代の手紙の様式や書に関わることがらを幅広く平易な文章で評論している本書は王朝文化の雰囲気を間近に感じさせる好著です。
- 作者: 奥村恒哉
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1977/04
- メディア: 単行本
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上の5冊を読み通すだけでかなりの数の和歌を読むことになります。これを機会に是非ご一読を。