『書物語辞典』

 先日、親友の引っ越しの手伝いをした際に頂きました。こんな本があるとは知りませんでした。

書物語辞典―英(独・仏・羅)-和

書物語辞典―英(独・仏・羅)-和

 書誌学や文献学にかかわる外国語(英語、ドイツ語、フランス語、ラテン語)の術語をアルファベット順に排列し、それに対応する日本語訳を示して、簡単な解説を付す。巻末には詳細な和文索引(日本語の書籍・出版用語集として使える)、「洋書の各部名称」の図表、そして「Table of Book Sizes」と題して、洋書で用いる印刷紙と、それを二つ折り、四つ折り、八つ折り・・・等々して製本した際の本の大きさを示した一覧表が付されています。
 なお、頂いたのは1983年10月15日第4刷本でして、序に「この度、重刷するに当りまして、いささかの補訂を加えました。今回より丸善の出版書として改めて発足いたします。 1983年10月15日」と。古書店等でお求めの方は御留意ください。
 ここで突然クイズですが、下の絵の女の子が左手に持っているモノ、なんだかわかります?

http://en.wikipedia.org/wiki/File:Campion-Hornbook.jpg

hornbook  ホーンブック。透明な角質薄片で覆った羽子板状の小型手習帳(板)。ヨーロッパ特に英国で15〜16世紀頃、ABC・数字・お祈り文などを紙片に木版刷りしたのを板に貼りつけ、その上に傷みどめと透視が可能な角の薄片を張ったもので、子供が胸先にかけて随時、文字数字等の学習用としたもの。これについての唯一の文献は Tuer, A. W.-History of the Horn-Book. London, 1896。

(84頁)こういったものは普通の辞典ではなかなか調べられない。
 通覧していると学ぶことばかりです(単に私が不勉強なのですが)。

Bowdlerized edition  削除版。ボードレライズド版。Thomas Bowdler(英人)がShakespeareの作品中の猥(みだ)らと考えた箇所を勝手に削除または改作した Family Shakespeare. 10 vols. 1818 に由来して、同様の処置をした一般書に及ぶ

(25〜26頁)"bowdlerize"が人名に由来していて、こういう経緯があったとは知らなんだ。

sheet deal  シート売り。ある本を製本せずに刷本または折本のまま売(買う)ること。(日本発売の洋書で例がある。製本は内地でする)。輸送が容易で、製本代も廉く版元製本分に比して安く売れる利点がある

(171頁)こういう商慣行は今でもあるのでしょうか?昨今の自炊ブームからすると、こちらのほうが喜ぶという人も多いでしょうね。

Suede  スエーデン革。特殊仕上げの山羊皮。最も柔軟な革の一種。ブリタニカ第11版(1910-11)の最上製本に利用されている。

(184頁)どこかで探してちょっと触ってくる!
 とにかく興の尽きない一冊でした。
 少し気になるのは英語表記でして、そこには普通はハイフンは入れない、という箇所にハイフンを入れていることがままあります。たとえば "book-ends"(22頁。bookend)とか"pen-name"(135頁。pen name。複合語ではなくて2語)とか。どうやら、これらは古い時代の表記法が反映されているようで、OEDで確認すると古い用例でハイフンが入っていたりするものも多い。