『書物語辞典』
先日、親友の引っ越しの手伝いをした際に頂きました。こんな本があるとは知りませんでした。
- 作者: 八木佐吉
- 出版社/メーカー: 丸善
- 発売日: 1976/06
- メディア: 単行本
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なお、頂いたのは1983年10月15日第4刷本でして、序に「この度、重刷するに当りまして、いささかの補訂を加えました。今回より丸善の出版書として改めて発足いたします。 1983年10月15日」と。古書店等でお求めの方は御留意ください。
ここで突然クイズですが、下の絵の女の子が左手に持っているモノ、なんだかわかります?
(http://en.wikipedia.org/wiki/File:Campion-Hornbook.jpg)
hornbook ホーンブック。透明な角質薄片で覆った羽子板状の小型手習帳(板)。ヨーロッパ特に英国で15〜16世紀頃、ABC・数字・お祈り文などを紙片に木版刷りしたのを板に貼りつけ、その上に傷みどめと透視が可能な角の薄片を張ったもので、子供が胸先にかけて随時、文字数字等の学習用としたもの。これについての唯一の文献は Tuer, A. W.-History of the Horn-Book. London, 1896。
(84頁)こういったものは普通の辞典ではなかなか調べられない。
通覧していると学ぶことばかりです(単に私が不勉強なのですが)。
Bowdlerized edition 削除版。ボードレライズド版。Thomas Bowdler(英人)がShakespeareの作品中の猥(みだ)らと考えた箇所を勝手に削除または改作した Family Shakespeare. 10 vols. 1818 に由来して、同様の処置をした一般書に及ぶ
(25〜26頁)"bowdlerize"が人名に由来していて、こういう経緯があったとは知らなんだ。
sheet deal シート売り。ある本を製本せずに刷本または折本のまま売(買う)ること。(日本発売の洋書で例がある。製本は内地でする)。輸送が容易で、製本代も廉く版元製本分に比して安く売れる利点がある
(171頁)こういう商慣行は今でもあるのでしょうか?昨今の自炊ブームからすると、こちらのほうが喜ぶという人も多いでしょうね。
Suede スエーデン革。特殊仕上げの山羊皮。最も柔軟な革の一種。ブリタニカ第11版(1910-11)の最上製本に利用されている。
(184頁)どこかで探してちょっと触ってくる!
とにかく興の尽きない一冊でした。
少し気になるのは英語表記でして、そこには普通はハイフンは入れない、という箇所にハイフンを入れていることがままあります。たとえば "book-ends"(22頁。bookend)とか"pen-name"(135頁。pen name。複合語ではなくて2語)とか。どうやら、これらは古い時代の表記法が反映されているようで、OEDで確認すると古い用例でハイフンが入っていたりするものも多い。