我が家にもこのプラスチックのものではなくて本物(?)のバランが生えています。
この葉に握り寿司を乗せて食べるのも一興・・・と思うのですが、まだやったことはない。
それはそうと、私はバランは外国語だと思っていたのですが、辞書を引いて少し驚いた。これ、本当はハラン(葉蘭)らしい。
御承知の通り、基本的に和語は語頭に濁音がこない。だとすると、この「バ」ランという語形は一体何なのかということになるのですが、wikipediaには、
寿司などの食品に付属する緑色のプラスチック装飾品をハランまたはバランというが、これはハランを真似て作ったプラスチック製のものを人造ハランと呼んだのが起源である。前に「人造」が付くため「ハラン」が連濁して人造「バラン」となり、「人造」が取れて短縮された結果である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%83%B3_%28%E6%A4%8D%E7%89%A9%29
ある板前さんのブログにも、
ハラン(葉蘭/はらん)とは飲食関係者が「バラン」と呼ぶ【仕切り】(人造バラン)の原型である植物で、それゆえに馬蘭とか婆蘭の字を当てることもあります。 人造バランと本来のハランを区別する為の当て字であるとも考えられますので、ユリ科常緑多年草である本来のハランは、バランとは呼んではいけません。
http://temaeitamae.jp/top/t6/b/013/01.html
連濁が生じていた複合語のうち、前の部分が省略されただと・・・?ただし、「葉蘭」は「馬蘭」(バラン)に由来するという説もあって、なかなか事情は複雑。これなら漢語の音読みなので語頭の濁音は問題にならない。wikipediaにもあるように、小学館の『日本大百科全書』には、
ハランの名は、大きなランを意味する中国名の馬蘭に由来する。江戸時代にそれを「ばらん」と読み、のちに「はらん」に変化、葉蘭という字があてられた。『花壇地錦抄(かだんちきんしょう)』(1695)は「花は未(いま)だ見ず」と記し、『本草綱目(ほんぞうこうもく)』の馬蘭の記述を引用している。
と。たしかに『花壇地錦抄』には「葉は大きくあつし」とあって具合がいいのですが、『本草綱目啓蒙』巻10によると「馬蘭 コンキク・・・葉鶏児腸ノ葉ニ似テ、鋸歯深シ」、つまり紺菊を指したようで今のハランとは異なるようです。一方で、『和漢三才図会』では「倭ノ馬蘭」としてキク科の植物ではなく、今言うところの葉蘭のような絵を描いていて、いろいろと混乱が生じています(というか混乱しているのは私だけかもしれませんが)。興味深いので、時間があったらちゃんと調べるのに!
ともあれ、馬蘭から来たという説をとれば、
馬蘭 → ばらん → はらん(葉蘭)→ はらん・人造はらん → はらん・人造ばらん → ばらん
という経過を辿ったことになる。私は知らず知らずのうちに元来の呼称に戻っていたのか。