文系だって捏造する

 NHKクローズアップ現代、今日の題目は「揺らぐ科学の信頼〜東大・論文ねつ造疑惑〜」。それを見ている親が、誰に言うでもなく、「まあ理系や考古学はともかく、文献を扱う分野で捏造ってことは難しいだろう」とひとりごちているのですが、何をおっしゃる。

 大分前のことであるが、いくら探しても注に記されている史料がないので、直接筆者に史料の所在を尋ねた学生がいる。聞かれたその高名な学者は、途端に絶句し、何々家所蔵文書と記されているその家がなくなった、と答えたという。つまり注記の史料は、自分の仮説を実証するために捏造したもので、初めから架空のものだったのである。

――中尾尭・村上直・三上昭美編『日本史論文の書きかた』(吉川弘文館
 特に歴史学は政治的プロパガンダに利用されやすいので。