「漢風の本棚」解題(2)

 昨日の続きで、下段の書籍を。下段はちょっと多いので2回に分けます。

  • 『唐人選唐詩』(崑崙出版社)

唐の時代の人が選んだ、唐の時代(つまり彼らから見たら「現代文学」)の詩のアンソロジー(10種)。注釈はないし、校異は示していないし、簡体字だし、これを買ったのは失敗しました。

  • 『三輔黄図校注』

「三輔」とは長安のこと。長安の地誌の詳注本です。優れた研究なのでしょうけど、ほとんど使ったことがない。もったいない。

  • 『毛詩正義訳注 第一冊』

残念なことに本書で中断しています。需要はすごくあると思うのですが。なお、田中和夫氏『毛詩注疏訳注 小雅(一)』(白帝社)が昨年刊行されました。

  • 『中国の名詩鑑賞2 古楽府』

小冊なのですけど、大変良いシリーズ。「4 初唐」については以前言及したことがありました。 書き忘れ - Cask Strength もちろん名著です。

  • 『謝康楽詩註』

謝康楽は謝霊運のこと。黄節の注。最近になって黄節詩学選刊と題して点校本が刊行されまして、それを買おうかどうか随分悩みましたが、このままでいいやと。これから購入する人はそちらを。

世界古典文学全集(筑摩書房)。陶淵明の作品は一海知義氏、『文心雕龍』は興膳宏氏の訳注。陶淵明と『文心雕龍』を読むためには必ず参照しなくてはいけない、金字塔的訳注書。解説も必読です。

  • 『古詩源』上・下

漢詩大系(集英社)。六朝詩を読む人にとっては本書と、漢文大系(冨山房)に入っている『古詩賞析』は必備。

  • 『王勃詩解』

おそらく今では稀覯書。私も見つけた時は驚きました。現代中国語がちゃんとできれば「小議」の部分を味わえるのでしょうけど。

買った当時は使い道がありませんでしたが、3年ほど前からフル回転で使っています。こんな便利な本はありません。

丁晏『曹集銓評』等の成果を取り入れての詳注本。本書が曹植の作品集のスタンダードの一つなのでしょうけど、作品を編年で並べているのが・・・。

袁行霈『陶淵明集箋注』が出るまでは本書が陶淵明集の標準テキストだったと思いますし、今でもその価値は減っていません。

  • 『六臣註文選』

四部叢刊本の影印本。この本はほとんど使わないですね。

  • 『謝霊運集校注』

今日の購書 - Cask Strength

中国古典新書(明徳出版社)。「目録学」を極めるというのが読書家の窮極の目標であることを内藤湖南氏・倉石武四郎氏・清水茂氏らに教わりました。

  • 『劉希夷詩注』

今では書店でもあまり見かけなくなった、サイズが非常に小さい「唐詩小集」シリーズの1つ。本書も64頁しかありません。でも、このシリーズには、珍しい詩人の注がいくつか入っている(杜審言とか)ので注意しておくと良いですよ。