台風襲来のような一日でしたね!
今日は夏至。夏至の日に降る雨を「黄梅雨」と呼ぶのだと周処『風土記』は言っています。
夏至之日雨、名為黄梅雨。沾衣服、皆敗[黒+宛]。
(『太平御覧』巻23。「夏至の日の雨、名づけて黄梅雨と為す。衣服を沾し皆敗[黒+宛]す」)
なぜ夏至の日の雨を特に「黄梅雨」と呼んだのかはよくわかりません。
ただし、「黄梅雨」といえば、『初学記』巻2に「梅熟而雨曰梅雨【江東呼為黄梅雨】」とあり、長江下流の地域では梅雨のことを「黄梅雨」と呼んだという、こちらのほうが普通の用法で、
帆開青草湖中去
衣湿黄梅雨裏行
(『和漢朗詠集』下・水付漁夫。「帆開いて青草湖の中に去る、衣湿うて黄梅雨の裏に行く」出典は、白居易「送客之湖南」)
は「梅雨」と同義のほうでしょう。索引をひいて同じ文字列が出てきても、すべて同じ意味だろうと考えずに文脈をしっかりおさえてくださいね(突然の教師目線)。
ついでながら、この時期の大雨を「濯枝雨」と呼んでいたことも周処『風土記』は記しています。ちょっとステキですね。
五月有大雨、名濯枝雨。
(『初学記』巻2。「五月に大雨有り、濯枝雨と名づく」、なお『芸文類聚』は「六月」とする)