世界中の壁に耳がある


スペイン語の先生が教えてくれたのですが、当地のことわざに(直訳すれば)「壁は聞いている」というものがある、とのこと。壁が聞き耳を立てているわけで、これはなかなか面白い、と感じました。
英語圏では一般的に、"Walls have ears" というわけで、そうなると我が俗諺「壁に耳あり」は、西洋の舶来品?・・・と言い出すのは早計。

人々、「此事よしなし。壁に耳あり、おそろしおそろし」とぞ申しあはれける。

――『平家物語』(巻一、清水寺炎上)
これは、むしろ、「君子無易由言、耳属于垣」(君子よ、由言ゆうげんを易やすくする無かれ 耳、垣に属く)という、『毛詩』(小雅・小弁)の影響。
それにしても、「障子に目あり」と対になるならともかく、「壁に耳あり」というだけだと、スペインのような擬人法なのか、それとも壁に人間が張り付いて盗聴しているのか、にわかには判断がつかないですね。