The Twelve Days of Christmas――で、コストはいくら?

“The Twelve Days of Christmas”は、日本ではあまり知られていませんが、伝統的なクリスマスソングです(もともとはマザーグースでしたっけ?)。*1。クリスマス季節の12日間、true love(心から愛する人、一説には「神」の寓意とか)から毎日贈り物をもらうのですが、一日ごとに前日にもらったものを数え上げるという、「数え唄」のような歌です。子供に歌うとすごく喜んでくれます。

On the first day of Christmas my true love gave to me
A partridge in a pear tree


On the second day of Christmas my true love gave to me
Two turtledoves
And a partridge in a pear tree


On the third day of Christmas my true love gave to me
Three french hens
Two turtledoves
And a partridge in a pear tree


On the fourth day of Christmas my true love gave to me
Four calling birds
Three french hens
Two turtledoves
And a partridge in a pear tree


On the fifth day of Christmas my true love gave to me
Five golden rings
Four calling birds
Three french hens
Two turtledoves
And a partridge in a pear tree

以下略。
全体の目録は、「梨の木にとまった一羽のヤマウズラ」「二羽のキジバト」「三羽のフランス雌鶏」「四羽の鳴いている鳥」「五つの金の指輪」「六羽のガチョウ」「七羽の白鳥」「八人のメイド」「九人の踊る貴婦人」「十人の踊る紳士」「十一人のバグパイプ奏者」「十二人のドラム奏者」。
おもしろいのは、PNC Bank の試みですね。ここの銀行は、この十二種のプレゼントを実際に贈った場合、どれくらいの金額になるのかを1984年以来毎年計算しています(詳細はコチラ→http://www.pncbank.com/12days/0,3810,2312,00.html)。84年には12623ドルだった相場が、今年は17297ドルになるそうですよ*2
「暇な連中だなぁ」と笑うなかれ。この推移は、そのままアメリカのマクロ経済の指標にもなってるわけです。
例えば、84年の段階では、コストのうち原料(要するに動物とか金とか)が占める割合は62%であったのに対して、今年(04年)は実に74%が人件費その他のサービス費で占められています。熟練労働者のコストが高くなることで、結局、中国など安い労働力を提供するところに非熟練労働者の仕事をアウトソーシングせざるをえないアメリカ経済の現況がここに垣間見られるようです。
おもしろいの「金の指輪」です。金それ自体は、同時多発テロ→アフガン戦争→イラク戦争という流れのなかで高騰するわけですが、五つの金の指輪の値段は84年(275ドル)よりも低い水準(255ドル)になっています。銀行のアナリストによると、原料価格は上昇したけど、「金の指輪」という製品に対する需要は低いために価格も抑えられたとのこと。
また、グラフを見ると、94年から95年にかけて全体価格が激減しているんですよね。この原因はなんでしたっけ?デフレ?経済学に詳しい方の教示を求む。

*1:id:himasyati:20041224さんのところでも紹介されています。やはりマザーグースなんですね!

*2:ただし、この計算法は「異端」でして、本当は前日までの贈り物を重ねて贈るわけですから、もっとコストは高くなるはずです。