菖蒲に八橋(2)

節は、五月にしく月はなし。……紫の紙に楝の花、青き紙に菖蒲の葉細く巻きて結ひ、また、白き紙を根してひき結ひたるも、をかし。

(『枕草子』)
 この「菖蒲」はアヤメではなくて、今で言うショウブのことですが(菖蒲に八橋(1)参照)、それはさておき、料紙とそれに添える花や草木のセットは同色系であるべきだというのが王朝びとの美意識であり、菖蒲の札に青い短冊ではなく赤い短冊が描かれているのはそれとは異なる感覚として注意されます。