男同士が手をとりあうこと

 「杜腐」って・・・w

中国腐女子が過剰反応! 話題の教科書の挿絵

日本でも高校の漢文の授業で中国唐代の漢詩を勉強するが、もちろん本場中国でも必修。古典の教科書に必ず収録されている。最近、中国の中学校の教科書に書かれていた「偶然再会し、感激のあまり手を取り合ってしまったであろう2人の男性」の挿絵に、中国腐女子が過剰反応しているらしい。

http://rocketnews24.com/?p=105863


 でも、男性同士が手を握ること(「携手」「執手」などと表現)は、古典の世界では、ホモセクシュアリティとは関係のない、友情や親交をいいあらわす決まり文句として頻出するものの一つです(言うまでもなく、男女間でも手は取りあいますが)。その点では、この挿絵は、そういった古典の伝統にのっとったものだと言えます。
 もちろん、この絵ではあまりにも「親密」過ぎるけどね・・・w

屏営衢路側
執手野踟蹰

携手上河梁
遊子暮何之

(漢・李陵「与蘇武詩」其一、および其三、『文選』巻29)これは別れ際のことですけど、李陵(♂)と蘇武(♂)が手をとりあうところ。ただし、この詩でも男の友人同士がやたら親密な様子なので、男女間のことを詠んだものが李陵に仮託されたのではないかという説も後に出てきますが(それとは別に、李陵に仮託された詩である可能性が高いとは思います)。

離別永無会
執手将何時

(魏・曹植「贈白馬王彪」、『文選』巻24)今ここで別れたら、手をとりあえる日は一体いつになるだろう、と。曹植(♂)が曹彪(♂)に。しかもこれは異母兄弟間の話。
 こういったものは我が古典にも出てくる表現です。

于時也、携手曠望江河之畔、訪酒逈過野客之家。

(『万葉集』巻17、大伴池主)同僚と一緒に手をとりあって川のほとりを遥かに望む、ということですね。