コロスコロス
『評苑文選傍訓大全』(外題は「(評苑改正)文選旁訓大全」)は李善注や五臣注を省略し、本文のみあって訓点を付したもの(頭注あり)で、手軽な『文選』のテクストです。
架蔵本*1の朱点が誰の手になるものかは未詳ですが、范曄「後漢書光武紀賛」の一節でちょっと吹いた。
お、おう・・・。よくホラー映画で被害者の部屋の壁に書かれていますよコレ、血でな・・・
(ご自由にお使いください)
たしかに「虔」も「劉」もそれぞれ単字で殺害するという意味があります。しかし、実は「虔劉」は熟語でして、『春秋左氏伝』(成公十三年)が出典の、由緒ある古典語です。左伝の杜預注に「虔劉、皆殺也」とあるように、この二字で殺戮するという意になります(『文選』劉良注も「虔劉、殺也」)。本書でも虔と劉の間に縦線一本入って熟語だと示しているのに。
瑣末な小ネタですが、インパクトがあったので。
*1:江戸・明治期『文選』版本目録 の分類でいうところの「5e」。指摘されている通り、覆刻本です。