自分の遺産を傷つけ続けるルーカス

 何が問題なのか、すごく簡単に言うと、

 ↑このシーンが、↓特別編集版でこれになって


 「本当はハンの方が先に撃っているのに!」("Han shot first")と何年も前から騒ぎになっているわけです。グリードが、この至近距離で外すような、信じがたいほど腕の悪い賞金稼ぎでハンは幸運でしたね(棒読み)。
 よくある、劇場(オリジナル)版からの「やっちまった」系の改悪なのですが、このたびルーカスが公式のコメントを出して、「『元々』グリードが先に撃っていた」などとのたもうた。

ルーカスは『スター・ウォーズ』におけるハン・ソロが賞金稼ぎグリードを撃つ場面での変更点について言及。オリジナル版を支持するファンについて「彼らはハン・ソロに冷酷な殺人鬼でいてほしいのでしょうね。でも、ソロはそういう人物ではありません」と一蹴(いっしゅう)した。

http://www.cinematoday.jp/page/N0039306

 インタビュー原文はこちら。びっくりしますよ。"what I did was try to clean up the confusion" "it was confusing about who did what to whom" いや、誰も「混乱」なんてしていませんが・・・

The controversy over who shot first, Greedo or Han Solo, in Episode IV, what I did was try to clean up the confusion, but obviously it upset people because they wanted Solo to be a cold-blooded killer, but he actually isn’t. It had been done in all close-ups and it was confusing about who did what to whom. I put a little wider shot in there that made it clear that Greedo is the one who shot first, but everyone wanted to think that Han shot first, because they wanted to think that he actually just gunned him down.

http://www.firstshowing.net/2012/wait-what-george-lucas-asserts-that-greedo-always-shot-first/

 「冷酷な殺人鬼」(a cold-blooded killer)だなんて誰も思っていなくて、要は、よくあるアンチヒーローです。ルーカスこそ、この変更で何がしたいんだと。ハン・ソロは、こういう人物です↓

「ときどき反社会的。でも、常に反ファシスト」(http://www.flickr.com/photos/begangenes/4866598100/sizes/l/in/photostream/
 ところで、「ブルーレイ版ではダース・ベイダーが「ノー!」と叫ぶなど大幅な変更が加えられ物議を醸したが」とあるのも最悪の改変でして、これを見たときは温厚な私も憤りで涙を流した。

 オリジナル版では、もちろん、ここではベーダー卿は完全に無言です。その無言のなかに、言葉ではとても言い表せない心中を我々は忖度するわけでしょ?皇帝が最も信頼する弟子として、ダークサイドに堕ちてしまったかつてのジェダイの騎士として、父として・・・それは、決して "Nooooooo!" ではない、ということは言えるけどね。
 「作品をよりわかりやすくする」、それを人は改悪と言う。