『古辞書と国語』目次

古辞書と国語

古辞書と国語

 夏休み中に読み終えようと思って、読み終わらなかった多くの本のうちの一冊です・・・(涙)
 論文集のかたちでまとまって良かったのですが、惜しむらくは語彙索引等がないことです。私も作ってはいないのですが、章題・節題についてはメモしたものがあります。読者の参考になるかと思い、以下に掲載しておきます。

序文 (木田章義


第I部 類聚名義抄の研究


第一章 類聚名義抄の濫觴(はしがき/図書寮本の組織と内容/図書寮本の出典について/図書寮本編纂の主旨四大視点/図書寮本成立の史的研究)
第二章 図書寮本類聚名義抄出典攷(はしがき/内典関係の出典について/外典関係の出典について/出典攷典籍一覧)
第三章 類聚名義抄の展開について(図書寮本から観智院本へ/観智院本系統の引例・普及/明らかになった観智院本の奥書の人物/図書寮本と観智院本との比較)
第四章 類聚名義抄の和訓の研究法(和訓はなぜ、どうして研究するのか/形式よりも内容の研究に/内的分野の研究方法/アクとアクナフ/カムとカマシ
第五章 類聚名義抄にみえる和音注(はしがき/音注に和音と呉音の差異は表れているか/三内撥(鼻)音の変化によりみた呉音の性格/おわりに)
第六章 観智院本類聚名義抄の参照文献(和訓増加の理由と方法/無記名出典をうながした新字書の参入/無記名出典をうながした字形字書)


第II部 仏典音義と反切


第一章 妙法蓮華経釈文の概要(はしがき/釈文の書誌/本文とその価値/加点と書入れについて)
第二章 法華経音義二点(高野山金剛三昧院蔵本について/近江西教寺蔵本について)
第三章 成唯識論音義について(大屋本成唯識論音義/明憲成唯識論音義)
第四章 倶舎論音義について(京大転写本倶舎論音義について/同本の出典について/高野山本と金沢文庫本について/京大本の原本についての余論)
第五章 新訳華厳経音義私記の反切について(邦人音義の反切の検証/誤記の疑いがある反切表記/広韻等と異なる反切の実体から浮上するもの/合否のデータと音概念の錯綜)
第六章 法華経単字の反切と字音(法華経単字の反切は日本呉音を担うか/反切上字の用法と分類/反切下字の分類と音韻/反切史上の意義)


第III部 まぼろしの韻字書『詩苑韻集』


第一章 天理図書館に収蔵された「韻字集」(幻の韻書の出現/名義抄が取りもつ縁)
第二章 詩苑韻集とは何物か(天理本『韻字集』は切韻と呼べるものにあらず――わが国の切韻略史――/『本朝書籍目録』所載の「詩苑韻集」/天理本は『詩苑韻集』に相当するか/韻集の成立年代の推定/辞書史上の位置と今後の問題)
第三章 韻字集所載の和訓の年代について(天理本は転写本である/韻字集の和訓の性格――名義抄の和訓との比較――/韻字集の和訓による適用――名義抄の和訓の補訂一、二/和訓の古い面と新しい面――前韻字集の国語史的位置――/仮名遣の異例の傾向からみた書写年代の推定)
第四章 韻字集(詩苑韻集)の原型とその伝承(韻字集が詩苑韻集であることの傍証/原本における分韻綱目の推定/本書の伝承とその和訓の追補過程)
第五章 詩苑韻集と推定される韻字集の部立てと色葉字類抄との比較(大友信一氏の論文「平安韻字集考」について/詩苑韻集の組織と本文/詩苑韻集の意義分類/詩苑韻集の部類の意味と状況〔天象部/地儀部/植物部/動物部/人倫部/人体部/人事部/飲食部/雑物部/光彩部/方角部/員数部/辞字部/異訓部/重点部/畳字部/双貫部/官職名、所名、人名/両音部〕/『詩苑韻集』の収容語の配列法/色葉字類抄の分類との比較/『色葉字類抄』の収容語との比較)


第IV部 国語と古辞書


第一章 古辞書への開眼(はしがき/古辞書における語の意味と分類/音義と辞書の差異と交渉/古辞書研究の課題と方法)
第二章 新撰字鏡とその和訓の特質(辞書の編纂は文運興隆の証/『新撰字鏡』の整備と和訓の増補/和訓の特色――分かりやすい生活語〔和訓の口語性/和訓の語構成/和訓の分かりやすさ〕/和訓の古語・方言的特性〔孤立した古語性/方言的なつかしさ〕/新撰字鏡和訓とその特質のまとめ)
第三章 方言語彙と新撰字鏡の和訓(古辞書和訓が方言に連る/動詞における一致の例/名詞における一致の例/新撰字鏡和訓は古代語彙の基礎)
第四章 遊仙窟和訓の一特質(特異な文献における訓読/ヘヘヤカナリの研究/ツキツキシの研究/原文の俗語文体に応じた訓読の口語性)
第五章 遊仙窟の諸本からみた和訓の特質(訓点本語彙校合の必要性/和訓からみた古鈔本三種の関係/古鈔本三種の和訓の特性/和訓からみた古鈔本と刊本との関係/和訓の伝承と古辞書)
第六章 辞書和訓に現れた特殊訓点語(和訓ヒヘヤケシの解剖/ヘヘヤカの実体と背景)
第七章 発音表記の複雑な訓点語の解釈(仮名表記から音韻を掴む/「跨」の和訓の見定め/和訓表記と漢字訓の同時考察/アゴエ・アザ・アゼの語構成)
第八章 詩経の和訓の盛衰(訓点語と古辞書/見過ごされた漢字「「求」+「糸」」の和訓/群馬方言カガヤクの登場/カガヤクの研究史/カガヤク(求婚)の分析と文化史/詩経における「絿」の訓読)


後記