織田得能『仏教大辞典』を引く時の注意点

織田仏教大辞典

織田仏教大辞典

 今でも(漢訳仏典の)仏教語を調べる時に最初に引くのはこの辞書です(この次に、岩本裕『日本仏教語辞典』。中村元『仏教語大辞典』とかはほとんど使ったことがない。使う必要を感じない)。もちろん、問題はありますよ。引用文に誤字脱字は多いですし、真言宗関連の術語の解説に誤りが散見されますし・・・それでも、日本文学や日本史の学徒が最初に引くべきなのはコレだろう、と思います。
 ただし、初めて利用される方は一点だけ注意してもらいたいことがあります。見出し語の配列法です。
 現行の五十音順配列の辞典類は、ほとんどの場合、同じ位置に同じ仮名(清濁はとりあえず無視する)が来る場合、その次の字の五十音順で語を配列します。


 しかし、『仏教大辞典』は同じ位置にある仮名を、まず清濁で分けてから次の字の五十音順に配列するのです。古い辞書はたまにこういうことをやっています。

本書各語の排列は五十音順により、濁音は纏めて該清音の次下に列す。

(凡例1頁)
 どういうことかと申しますと、下の写真を御覧いただくのがわかりやすいと思います。

 特に語頭の濁音が厄介で、凡例を読まずにいきなり本書を利用しようとすると、目的の語が見つからない、なんてことがよく起こるのです(この失敗も、今となっては懐かしい思い出です)。まあ、みんなが一度は経験する通過儀礼みたいなものですよ!
 そこで、目的の語を見落とさないようにするにはどうすればいいか、ということですが、およそ10年ほど前に阿部理恵氏が作成なさった「『織田仏教大辞典』見出し語リスト」(txtファイル)を用いるわけです。現代仮名遣いになっているので、利便性が高い。
データベース:ダウンロード:辞書他:『織田仏教大辞典』見出し語リスト編者のコメント(IRIZ)
 http://iriz.hanazono.ac.jp/frame/data_f00d6.html ←こちらの「『織田仏教大辞典』見出し語リスト」よりzipファイルをダウンロードして解凍。