Aberlour a'bunadh


深い琥珀色。栓を開けた瞬間に、芳香が立つ。花のよう。
しばらくシェリーの香りを楽しんだあとに、いよいよ口へ。
ドライフルーツのような特徴が顕著です。鼻に抜ける甘さが心地よい。最後の最後で、林檎がかすかに感じられる。
加水すると、フルーティーさが一層強まると同時に、苦味も少しあるかな。
アベラワーの10年などは、まあ、可もなく不可もない普通のモルトだと思いますけど、これはシェリー樽熟成にこだわったもののなかでは、間違いなく上位に入るでしょう。とにかく、香りとクリーミーな口当たりを堪能したい方におすすめ。



ところで、この a'bunadh とはゲール語で "the origin"(起源)という意味だそうですが、果たしてどう発音するのか?
マイケル・ジャクソンモルトウィスキー・コンパニオン』(日本語訳初版 小学館 2000年)のルビは、「アブナック」。
ちなみに、タカムラはやはり「アブナック」で商品を登録していますが、信濃屋は「ブナック」。
スコッチモルトは、表記そのものだけでは発音がわからないものが多いので、そういうときは、とにもかくにもケースの説明書きを参照するしかない。
"a'bunadh" については、発音は "a-boon-arh" だと注記されています。(辞書にあるような発音記号じゃないところが、わかりやすくていいですね)
カタカナで書くとすると「アブーナーッ」(最後は「ナー」と伸ばしきるのではなく、促音を入れるような気持ちで)といったところで、カタカナで記すと、背中が痒くなるような語感がしますw
ちなみにゲール語というのは、第二音節にアクセントが来る場合が多いと仄聞しているので、この場合も「ブー」にアクセントを入れて発音するのが正しいのでしょう。(だから、信濃屋が「ブナック」とするのは、「メリケン粉」と同じ原理で、頭音の「ア」が次音節のアクセントによって相対的に小さい音になって聞き取りづらくなるからなのでしょう)



余談。Caol Ila は、"Cull Eela" だそうです!ということは、「カリラ」は少し不正確かな。