今日の購入品


某書店に注文していた書籍が郵送されてきました。


  羅維明『中古墓志詞語研究』(曁南大学出版社 2003年)
  袁行霈『陶淵明集箋注』(中華書局 2003年)


『中古墓志詞語研究』は、唐代までの墓誌(墓碑)銘に出てくる特徴的な表現について、語義と用例を示したもの。
語義や用例については、特に『漢語大詞典』の誤りを糺したり、より古い用例を挙げることに主眼があるようです。
目次を見ると、やはり「崩心」「摧肝」「泉門」といった、万葉集で少し問題になる語彙がすぐに目に飛び込んできます。
「泉門」は「泉扉」「泉戸」と同義のものとして扱われ、いずれも「墓門」という意味だという指摘。
巻5、日本挽歌の前にある漢文の「泉門一掩」の「泉門」を最近の標準的な注釈は「死後の世界、黄泉の入口にある門」(新編日本古典文学全集)とか「黄泉の門」(新日本古典文学大系)としますが、やはり「墓門」くらいの意味でいいのでしょう。


陶淵明集箋注』は、中世文学専門家の袁行霈による全注。各作品の「校勘」「題解」「編年」「箋注」「考弁」「折義」などによって構成されます。
さすが、従来の注釈が挙げていない用例を挙げていたり、ロク欽立『陶淵明集』(中華書局)の現代中国語訳よりも通釈は詳しくて、少し高価な印象を持ちましたが、買う価値はありました。勉強します。
「依依墟里煙」(「帰園田居 其一」)の「依依」は、「依稀隠約、若有若無」。煙がかすかなさま。
「心遠地自偏」(「飲酒 其五」)について、「意謂己心離世俗、故若居於偏僻之地」。つまり、「地自偏」を比喩だと捉える。
「責子」詩の制作年は、西暦401年、陶淵明が50歳のときだとします。ちなみに、陶淵明の生年については、『宋書』の記述をとりあえず信用して西暦365年、というのが通説。
・・・ほかにいろいろありますが、まあこの辺で。