『モルトウィスキー・コンパニオン改訂版』

今年中に出ると某バーテンさんから伺ってましたが、結構早くお目見えしましたね。(ちなみに奥付には、「2005年3月1日 初版第一刷発行」)
旧版と比較して、500ボトルの情報が追加(帯の宣伝文句による。まだチェックはしていないです)。そして、いかにもモルト入門者の目を意識した作りになっていますね。冒頭部はウィスキー関連の総論・概論に約80頁を費やしており*1、内容も大幅に改訂増補されています。今後、古本屋などで旧版を容易に入手できるようになるでしょうが、改訂版が断然お勧めです。(目を通した限りでは、旧版に載っていたボトルのテイスティングノートに変更はないようですね)
とはいえ、実は、こういった本の「テイスティングノート」にはあまり目を通さないようにしています。先入観を持つと、舌がそれに引きずられるので・・・。飲んだ後にこういった類のハンドブックの記述を見て、「おお、そういう表現法がありますか」と勉強するわけです。
「??」と首を捻ってしまうテイスティングノートもあり、それも一興です。リカーの味わいというのは、飲む人が歩んできた人生が反映されますから。
試みに、一部の読者にも馴染みのあるウィスキーについての、ジャクソン氏のテイスティングノートを書き抜いておきましょう。自分が感じ取った味わいの記憶を紡ぎ出し、それと比べてどうでしょう。
まずは、ブラッドノック10年(花と動物)

UDV時代に発売。見つけるのが困難になっている。
色:琥珀
香り:かすかにシェリー、芳しくフルーティ、レモンのよう。
ボディ:よりフルで、しっかりしている。
味:多くの変化を楽しめる。シェリーの感じで始まり、シリアル系の草っぽさをへて、花やフルーツ、レモンのような特徴に至る。
フィニッシュ:またもや驚くほど主張が強い。
点数 85

そして、好評だったハイランドパーク25年

色:琥珀色から銅色。
香り:限りない複雑さ。ラムとレーズン、クリスマス・スパイス、乾燥したヘザー、軽いスモーク。
ボディ:層をなしている。
味:熟成感、完全な均衡。チョコレート、ナッツのようなオーク。上質なタンニン。軽いスモーク。
フィニッシュ:長く、繊細、苦いオレンジと芳しいレモンをともなう。
点数 95

最後に、序文(「もう秘密ではない」)の印象的な一節を引いておきましょうか。

もはやモルトウィスキーを、スコットランド愛する人々のために用意された一部の地域のものとして見なすことはできない。

*1:書式の話になりますが、行詰めというか行間隔は、旧版よりも広くなっているので、読みやすくなっています