『日本陰陽道史総説』所収『占事略决』の校訂文について

『日本陰陽道史総説』について、先月16日に言及したところ(http://d.hatena.ne.jp/consigliere/20050316)、「占事略决」のキーワード検索で当ブログにお越しくださる方がチラホラ。陰陽道への関心は根強くあるようですね。
ちょっと調べてみると、「はてなダイアリー」内では、「北斗柄」さんがこの業界にお詳しいようで、思わずいろいろとリンクを辿ってしまったのですが、id:hokuto-hei:20030804 に、

付記:村山修一著「日本陰陽道史総説」(ISBN:4827310572)では、占事略决の記述として、「常以月将加占時」が「常以月将加占特」となっていたが、とりよせた占事略决では書写した安倍泰統の書き癖で「時」が「特」に見えないこともないということが確認できた。泰統は正しく「常以月将加占時」と書いている。

とあることに、一言。私が先月購入した『日本陰陽道史総説』は、1994年6月20日発行の第六刷でして、ここでは「常以月将加占時」(140頁)となっています。「北斗柄」さんが見たのは、これより前に発行されたテキストでしょう。
「増刷」とは、版に手を加えることなくそのまま印刷するのが原則ですが、誤字・誤植の訂正、行数・頁数に変更が起こらない程度の書き換え、あるいは余白を利用しての付記の追加がおこなわれた場合も、「改版」ではなくて「増刷」とするのが慣行です。最新の印刷物の記述が著者の公式見解であるとみなすべきでしょう。
『上宮聖徳法王帝説』について書いたように(http://d.hatena.ne.jp/consigliere/20050402)、すでにお持ちの本であっても、重刷されたらちょっと注意してみるのがいいかもしれませんね。