米国の日本産種牡馬へのエール

南半球競馬の雄であるオーストラリアで種牡馬として供用されていたジェニュイン号が一時帰国。その理由はというと、

当初は昨シーズン同様に豪州でのみ繋養される予定だったが、現3歳世代に4戦不敗のドンクール(牡3、栗東梅内忍厩舎)が出現。関係者の強い要望で急きょ帰国の途についたというもの。夏前には再び豪州に戻るというつかの間の“里帰り”ではあるが、同スタッドには早くも種付けを希望する問い合わせが相次いでいるという。

だそうです。サンデーサイレンス号が亡くなった今、その子供たちに対する期待が世界中で日増しに高まっているなかでの「逆輸入」ということになりました。
今まで海外の実績馬・良血馬を受け入れる一方だった日本が、逆に、世界中に「血の供給」をする重要拠点となる日は近いかもしれませんね。
意外と知られていませんが、競馬大国アメリカには日本産の現役種牡馬が5頭います。まだまだ数は少ないですが、やはり日本人の競馬ファンとしては応援したい。

このなかで特に注目されているのが、Sunday Break 号でしょう。この名前、どこかで耳にした人もいるかもしれませんが、あの War Emblem 号と同期でして、War Emblem の三冠がかかった Belmont S に出走し、見事に二冠馬に先着(3着)して、その名を轟かせました。ファレノプシス号の半弟、と言ったほうがファンには馴染みがあるかもしれませんね。今はケンタッキー州の Gainesway Farm に繋養されており、まだ産駒デビュー前にも関わらず、去年は132頭も相手にしたという、期待の星です。子どもたちの活躍次第では、種付け料(現在8500ドル)も急騰しますよ。
Eishin Masamune 号は現在コロラド州 Holden Farms で暮らしているとのこと(日本でレースをしていた同名のエイシンマサムネ号とは別の馬)。全妹にエイシンルーデンス号がいますが、知名度という点では Sunday Break に遠く及びませんね。それでも、去年は31頭に種付けしています。
Austinpower 号は北米を代表する名牝 Ballade 号の孫にあたりますから、あの Devil's Bag 号や Saint Ballado 号の甥にあたるという、いかにもアメリカ人好みの血統。当初は Hurstland Farm にいて、その後、フロリダ州の Lue-Roe Farms に移籍したようです。2500ドルの種付け料は、いかにも割安感があって、去年の種付け実績(12頭)を大幅に上回ることが予想されますね!
Fusaichi Zenon 号は、まだ記憶に新しい一頭。海外遠征すると聞いてから、いつの間にやら時が経ってしまいましたが・・・。カリフォルニア州の Magali Farms という所で元気にしているようで、安心しました。日本での成績(弥生賞ウィナー)や血統(アグネスゴールド号の全兄)を考えると、種付け頭数10頭というのは、やや少ないような気がして残念です。
South Boy 号のことはよく分かりません。母方はいかにも日本の在来血統という感じですね。アリゾナ州で暮らしているとのことで、このまま忘れ去られてしまいそうな空気。何とかしたいですが、こればかりはね・・・。
今後は、サンデーサイレンス直系の馬が活躍する余地があるかも。それよりも、「マル父」の種牡馬アメリカに輸出されて、その子どもたちがアメリカの血統地図を塗り替える、というのが夢ですね。
(種付け頭数の情報は、http://www.jockeyclub.com/information.asp?reportrequest=RMB&letter=all より)