音のみし泣かゆ

遠音にも 君が嘆くと 聞きつれば 音のみし泣かゆ 相思ふ我は
   −−−萬葉集、巻19・四二一五

「遠い噂に あなたが悲しみ嘆いていると 聞いたので ただただ声に出して泣いてしまいます あなたを思っている私は」


四二一六歌の左注には「右、大伴宿禰家持弔聟南右大臣家藤原二郎之喪慈母患也。五月廿七日」(右は、大伴家持が、聟である藤原二郎が母を亡くした悲しみを弔問したものである。五月二十七日)と。