雄弁は銀、沈黙は金

これは19世紀の文筆家 Thomas Carlyle 著 Sartor Resartus 第3巻の、

As the Swiss inscription says: Sprechen ist silbern, Schweigen ist golden, --- “Speech is silvern, Silence is golden;” or, as I might rather express it, Speech is of Time, Silence is of Eternity.

が出典です(カーライルは、それを Swiss inscription から引いたと証言しています)。少なくとも、バートレットの引用句辞典は、そう判断しています。
だとすると、この格言は古代ギリシャの諺に由来し、古代ギリシャでは銀の方が価値が高かったから雄弁こそが沈黙よりも評価されていた、というのは俗説ということになりますね。中には、

ところがところが、調べてみてビックリ。私もこの言葉はてっきり上記の意味かと思ってたのですが、ホントは全く逆なんですね。どういうことかというと、この言葉は古代ギリシアアテネの雄弁家デモステネスが言った言葉なんですが、当時、銀は技術の未発達のため精錬が難しく、砂金など自然のままで産出する金に比べて遙かに高価だったのですね。同量の銀は金の10倍の価値だったとも言われているそうです。

と、「デモステネス」の名を挙げる人もいますが(なまぐさ坊主のCoffee Break 2005年06月29日)、典拠となる文献名を挙げている人は見たことがありません。
というわけで、私は古代ギリシャ発祥説を否定する方に傾いているのですが、出典を示せる方は御教示よろしくお願いいたします。