しもつけの花にまつわる説話の謎

 しもつけを買ってきましたー。愛らしい、とても清楚な白い花。

 しもつけは以前も記事にしましたので、よろしければ御覧ください。→「さてさてこの野州はやういかり参らせたよ」 - Cask Strength 某資料館にはもうほとんど行かないので確認できませんでしたが、今年もキレイに咲いたかな?
 ところで、しもつけのことを検索したところ、いきなり奇妙な話が出てきたのですが・・・

 捕虜にされていた父を助けに行った娘が、父のもとへ行くと父は既に病死していたという中国のお話があります。その際に持ち帰ったのがシモツケだったことから、「無駄」と「無益」という花言葉が生まれました。

https://tanpure.com/articles/1979/#i-2

 おそらく、元になったのは松田修氏『カラー歳時記 野草』の以下の記述だと思われます。ブログによっては「元蒅」を「元騎」にしているものもありますが。

 戦国のころ韓の国に繍線という少女があった。彼女の父元蒅は軍に従って斉と戦い、不幸にして敵に捕らえられて獄舎に投ぜられたのであった。繍線はこれを聞いて悲しみに耐えず、ついに心を決して自ら男装し、単身敵国に入り、つぶさに辛苦をなめて二年目にようやく獄吏となることができたのであった。そこでいかにでもして獄舎の父を救わんものと、獄舎の中を尋ね捜したが、父らしい影はそこにはなかった。繍線は不思議に思って、あるときひそかに父の所在を尋ねてみると、父の元蒅はすでに獄裡に病を得て、その年の春三月ごろ、散りゆく花とともに死んでしまったということである。初めて知った父の死に、繍線は悲しみと恨みを抑えることができず、死囚として埋められている父の墳墓に詣で、しばらくは血の涙をこぼして泣き悲しんだのであった。かたわれでこれをみた人びとは、かわいそうに思ってたすけ起こし、いろいろ慰め、今は故郷に帰るようにすすめた。少女はあたたかい言葉にほだされて、今は詮なしと父の記念に墓の側に咲いていた一輪の花を携えて、わびしく故郷に帰り、この花を庭の一隅にさしたのであった。この花は根を生やし、その季節になるといつも美しい花をつけるのであった。人びとはその花に、孝心深い少女の名をつけて、繍線菊と呼んだ。これがシモツケソウの花であるという。

https://books.google.co.jp/books?id=eAS95TRKwJsC&lpg=PP1&hl=ja&pg=PA116#v=onepage&q&f=false

 ところが、こんなに具体的に語られているのに、この出典がわかりませんorz 『列女伝』とかにあるかな、と思ったのですが、どうも違うようです。あるいは、何か小説類にあるのか。あるいは、『枕草子』(「草の花は・・・しもつけの花」)の古注にそういう説があるのか。私、何か甚だしい見落としをしているでしょうか・・・?みなさまの御教示を乞う。