七夕伝説は奈良時代以前に伝わっている(たぶん)
やあやあ、今日はちょっと歯切れが悪いよ!
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/213532
いや、もっと早くから伝わっている(はず)。
『万葉集』巻10の1996歌以下に七夕歌がまとめられていて、2033歌の左注に、
とあります。つまり、1996〜2033の七夕歌が『柿本人麻呂歌集』からの引用であること、そして、2033歌が「庚辰年」に作られたという注記です。
この干支がいつを指すのかといえば、可能性としては二つあって、天武9年(西暦680年)か天平12年(740年)ということになります。『柿本人麻呂歌集』に聖武朝の歌が含まれていたとは考えにくいので、おそらく前者でしょう。したがって、飛鳥・白鳳時代にはすでに日本人にはなじみの伝説であったと考えられます。
ただし、本当に7世紀でいいのか、と言われると困ってしまうので、本記事は歯切れの悪いタイトルになっています・・・w
もう一つ考えられることとして、『懐風藻』に七夕を題材とした詩が何首か収録されています。その作者のうち、没年がはっきりしていて、もっとも早く亡くなっているのは藤原史(不比等)です。不比等は養老4年(720年)に薨じており、それ以前の作であることは確かで、このことからもやはり奈良時代以前から広く知られていた故事であり、たとえば宮人らの間で私的な宴会が催されていて、なにか行事もあったのだろうと考えていいと思います。
ただし、平城への遷都が710年なのだからこれも確実ではない、と言われればそれまでなのですが・・・。