檀林皇后(橘嘉智子)の父である橘清友のことを調べていたところ、『国史大辞典』に、
『古今和歌集』に井手の山吹を詠んだ歌を収む。
と。あれ?と思ったんだけど、やはりコレでした。
題しらず よみ人しらず
かはづ鳴く井手の山吹散りにけり花の盛りにあはましものを
この歌は、ある人のいはく、橘のきよともが歌なり
つまり、よみ人知らずの歌なのですが、左注には清友作とする異説があると記されているわけです。
たしかに、井手は橘諸兄の別荘があったと伝えられ、橘氏ゆかりの地ですから、左注の説が根も葉もない話だとは思いませんが・・・。信頼されている辞典の記述としては慎重さを欠いていると言わざるをえません。