萩に猪(2)・・・長らくお待たせしました連載再開です

 萩の5点札、萩に短冊。

  折句歌
   藤原仲実朝臣のもとにうしかりにつかはしけるとき萩の枝につけて   俊頼朝臣
うらむとは しらでやしかの しきりには 萩のはひえを しがらみにする

(『新拾遺和歌集』雑歌下)
 牛を借りるというのは、現代でいえば車を借りる、くらいの意味ですが、昔はそういう頼みごとをするにも風流なことをしたものですね。源俊頼は折句歌*1を手紙に書き付け、萩の枝にそれを結って藤原仲実のもとに送りました。各句の頭文字をつなぐと、「うししはし」、つまり「牛暫し」。
 歌人として名高い仲実も、やはり折句歌で返事をしました。

   返し   藤原仲実朝臣
うらめしと しかをないひそ 萩がえも かるもにしつつ すぐすとぞみる

 「牛は貸す」

*1:参照、菖蒲に八橋(1)