本棚からの一冊 - Cask Strength 『pen』7/15号に目を通したという友人がチラホラいるので。
身近な草木や動物を描く花鳥画には、さまざまな意味や感情が込められる。たとえば猫と蝶は長寿を、蓮と鷺は「一路連科(科挙試験の一発合格)」を意味する。これらは中国語で猫と蝶、蓮と鷺を読んだ時の発音が似ているため、めでたい意味をもつ別の言葉をあてはめたもの。つまりは語呂合わせである。このように花鳥図は吉祥図としての役割も果たしているものが多い。
(96頁)
たとえば、コウモリ(蝙蝠)が描かれた丼や絵を中華料理店などでよく見かけますが、これは「蝠」が「福」と同音ということで縁起物なのですね。
あるいは、「百鹿図」(台北故宮博物院にも百鹿を描いた明代の壺があって、素晴らしかったです)なんてのが画題として定着していますが、これは「鹿」に「禄」が掛けられています。
こういった中国の吉祥イメージを調べる捷径が『中国伝統吉祥図案』です。
- 作者: 李祖定,黒門,山村敏江
- 出版社/メーカー: 説話社
- 発売日: 2009/12/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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八十・九十歳の長寿を表し、長寿の祝いの言葉によく使われる「耄耋」(ぼうてつ)と「猫」「蝶」は音が似ているので、猫・蝶と牡丹を組み合わせたデザインは、長寿や富貴を意味する。
(「胡蝶」、30頁)
「鷺」・「蘆」と「路」、「蓮」と「連」をかけ、鷺・蘆・蓮の花を組み合わせた美しい水禽図は、立て続けに科挙の試験に合格するごとく、物事が順調にいくことを表す。
(「一路連科」、135頁)
ついでなので、本書で紹介されているその他の「語呂合わせ」的吉祥イメージの内、よく見かけるものを列挙しますと、