朱引を知る歌

 漢籍等に書き入れられる朱引(しゅびき)の手法を案内する歌としては太宰春台『倭読要領』(下巻)等に紹介されている「右所中ハ人ノ名左官中二ハ書ノ名左二ハ年号」(右の一本線は地名、中の一本線は人名、左の一本線は官職名、中の二本線は書名、左の二本線は年号)が有名ですが、『塩尻』に収められた朱引の歌は四首仕立てで、圏点や国号、篇名についての説明もなされているものでした。

星々ノ右リニアルハ字眼ナリ、左リノ星ハイラヌコトナリ

世ノ朱引右リ二ツト思フベシ、中ノカキヲバ篇トシルベシ

右所中ハ人名、左リヲバ官ノ朱引トカネテシルベシ

二ツ引中ノ朱引ハ物ノ本、左リ二ツハ年号ゾカシ

(『塩尻』巻89)
篇名のところで言っている「中ノカキ」(カギのことかと最初思いましたが違うのかな)というのは以下のような長四角のことでしょうか。

(書誌学展目録126頁)