「日本書記」はまとめて直したほうがいい、と、その他注意喚起

 今までも何度もちょこちょこと注意喚起してきましたが、ウェブ上で検索できる文献目録の弱みというのは、最初のデータ入力が間違っていたらその論文や著作は検出できなくなるということです。せっかくの学問リソースが手に入らないわけですから、これによる損失は計り知れない。
 「楊雄」とか*1 *2 「随書」とか「元享釈書」等々多くの物を見てきましたが、とにかく非常に多いのは、「日本書記」です。

 (クリックで拡大)画像はCiNiiのものですが、日本文学のプロであるはずの国文研のデータベースでも誤りが多いので、この際一気に直した方が良いのではないかと思います。もちろん、多くの人は自衛策として「日本書紀」「日本書記」の両方でチェックしているはずなのですが・・・。
 (余談ですが、「日本記」の場合は誤りでないこともあるので、注意してください。参考: CiNii 論文 -  翻刻 名古屋市蓬左文庫蔵「幸若音曲本」(六) : 元服曽我・入鹿・日本記・笛の巻・文学
 そういう意味で、私自身が目録検索でほかにダブルチェックしている書名・用語は、主に以下のものです。これらは「日本書記」とは違って、どちらかが明白な誤りとは言えないこともあって、データ入力に際してさらに混同しやすい。「土佐日記・土左日記」「法華経・法花経」「栄華物語・栄花物語」「注・註」「鈔・抄」「草子・草紙」等々・・・
 あとはとにかく想像力を働かせて、どんなミスがありうるか考えながら検索してみるしかない。しかしまあ、なんというムダな作業でしょう。
 あと、こんな厄介な例もあります。
 たとえば CiNii や国文研は「万葉」でも「萬葉」でも同じ結果が出ます。当然ながら「万」と「萬」を同字と判定しているわけですが、なぜか CiNii の論文検索では「曾我」で検索すると「曽我」が現われず、「曽我」だと「曾我」が出てきません(書籍検索では問題ないのに)。こういった例はほかにもあるでしょう。改めて注意を促す次第です。

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*2: