孫過庭の真蹟『書譜』が来年トーハクに来る

 日刊紙「自由時報(ザ・リバティ・タイムス)」は、日本を訪問した王立法院長のコメントとして、「東京で行う故宮博物院の展示会について、貸出す品がほぼ決定した」と伝え、「日本から希望のあった最重要文物は4点。郭熙の「早春図」は断り、孫過庭の「書譜」は受け入れた。そして「翠玉白菜」と「肉形石」は、条件付きで受け入れた」ことを報じた。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0727&f=national_0727_020.shtml

 台湾の故宮博物院所蔵の『書譜』は作者である孫過庭の真蹟本です。複製本(CiNii 図書 - 唐孫過庭書譜 こんな感じ→ http://goods.ruten.com.tw/item/show?21209067922820)もあるのですが、本物見てみたいですねー。この『書譜』は草書を学ぶための初学者課業の手本とされていますし、内容は唐代の書論としても重要だといわれます。
 書のことは全く詳しくないのでよくわからないのですが、私はCiNii 図書 - 書譜序注疏中国書論大系〈第2巻〉唐 (1977年) - はてなキーワードで読みました。
 『書譜序注疏』は影印に注を付ける形式のものですが、その釈文の体裁が少しおかしくて(?)、

(34頁)御覧の通り、書字の傍に何の字なのか釈しています。まあ、見やすいけどね・・・
 『中国書論大系 第二巻 唐1』には、翻刻・読み下し文・現代語(日本語)訳・注釈が収められて便利です(執筆:西林昭一氏)。西林氏は本書に先立って中国古典新書(明徳出版社)の『書譜』もお書きになっていますが、中国書論大系本は「さらに典故を再確認して、いくつかの誤謬を訂正した」(97頁)ものなので、これが決定版ということになります。
 ところで上の写真の、私の指先の字は『書譜序注疏』では「使」に釈していますが、どうでしょうか。第一画をよく見ると、何か別の字を書こうとしてごにゃごにゃとなっていて、その上から、今見る字を書いているようです。従来はこれを「変」と読んだり、「事」と読んだり、「吏」と読んだりしているのですが、明解はないようです。実際の書を睨んでいたら何か答え出てくるかな?