『日本古代木簡集成』の第2刷
検索していたら、こんな写真があったよ。播磨国の荷札木簡の複製。
播磨国加古郡あはは里の木簡 - 写真共有サイト「フォト蔵」 (「播磨国加古郡あはは里の木簡」画像をクリックすると拡大)
兵庫県立考古博物館(兵庫県立考古博物館ホームページ)の展示かな?
実は右の「播磨国賀古郡淡葉郷須□〔保カ〕里・・・」の木簡はちょっとしたネタのある木簡です。
そもそもこの複製は、書かれた当時の姿を想像して復元したものなので、木もキレイですし、墨痕も鮮明ですよね。出土した実際の木簡はこういう姿ではありません。実物を写真で見ようとしたら、手っ取り早いのは『日本古代木簡集成』の図版です。
- 作者: 木簡学会
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2003/06
- メディア: 大型本
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(釈文6頁)
ただ、面白いのはここからでして、実は今引用したのは『日本古代木簡集成』の第1刷(2003年5月20日)のものです。本書は約1年後に増刷(2004年3月25日)されますが、そこでの釈文は、
「□□」だった箇所が「須□〔保カ〕」になっています。これは「誤植」の訂正などではなく、研究の進展によって字が判別できて改訂した例です。上の複製品は最新成果をもとに復元したのですね。
実は、この木簡はバラバラだったものを接続したのですが、第1刷の段階ではその接続が誤っていました。第2刷の段階で正しい接続が判明したので、図版の写真も第1刷と第2刷では差し替えられています。図版をお見せすることができなくて申し訳ない。細かい点ですけど、関心のある方は各地の図書館を駆けずり回って本書の第1刷と第2刷を探し出して見比べてみてください!
やはり、なにごとも最新の印刷によるべきですが、これくらい高価な書籍の場合は、出版社がホームページなどで訂正箇所や正誤表を告知・掲載しても良いのではないかとも思います。ちょっと難しいかな。
(ちなみに、ほかにも2つの木簡で写真が差し替えられていますよ・・・!)