源順と「紫陽花」(授業のネタに使える話)
私たちに馴染みのある『紫陽花』という表記になったのは、平安時代のことです。学者であり歌人の源順(みなもとの したごう)は、中国の白楽天の詩を読んだ際、その詩に記されている『紫陽花』と、日本でよく知られるアジサイが同じものだと考えました(実際は別種の植物だったようですが…)。このことをきっかけに、アジサイに『紫陽花』という漢字があてられるようになったのです。
http://www.tenki.jp/suppl/daaaaamegane/2017/06/10/23311.html
オレ「どう考えてもこの記者さんはちゃんと調べものをせずに書いていると思うので、この『源順は・・・』以下のところを検証するのがA君の課題です」
A君「はい、わかりました」
〜翌週〜
A君「調べてきました!源順が編纂した辞書『和名類聚抄』に書いてありました!こちらです」
(『諸本集成 倭名類聚抄 本文編』470頁。http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/991793/13 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/991793/14)
オレ「そうかそうか。ところで私の『和名類聚抄』には書かれてないよ」
A君「え?」
オレ「ほら。『薄』と『荻』の間、『紫陽花』なんてないよ」
(『古写本和名類聚抄集成 第二部 十巻本系古写本の影印対照』231頁)
A君「・・・」
オレ「ところでA君の持ってきたこれ、『紫陽花』の項目が四角で囲まれているけれども、どうして?」
A君「わかりません」
オレ「この小さい字の、狩谷棭斎の注は読んだ?」
A君「いえ・・・」
オレ「また来週やり直しだね!」(ニコニコ)
いろいろと考えるきっかけになると思うので、このネタ、授業で使ってもいいよ!