人名用漢字をめぐる混乱――「屑」(2)

 『荀子』の用例文をよみくだしてみると、「此に人有り、屑然として千溢の宝を蔵せば、行貮こうとくして食すと雖も、人は之これを富めりと謂はん」、つまり、「ここに人がいて、もしその人が『屑然』と大金・財宝を手に入れたとすると、食を他人に乞うという生活を続けても、世間ではその人を金持ちというだろう」という感じ。微妙なところですが。
ちなみに、唐の時代の楊神が残した注釈が、完全なかたちで残った最古の『荀子』注でして、それによると「雑砕衆多之貌」(こまごまと数が多いさま)。参考までに。