おみやさん


予告編を見た母が「今回の『おみやさん』に万葉集が出るらしいよ!」と言われて、思わず見てしまいました。まず、容疑者の所持品から、

佐野保太郎・藤井寛『註解萬葉集

が出てきて、「おお、いまどきこんなテキストで万葉集を読む人はいないなあ」
そして、その本にはさまれていたのは歌一首。

朝ごとに 我が見るやどの なでしこの 花にも君は ありこせぬかも

これは巻8・一六一六。笠女郎が大伴家持に贈った歌です。(のちに、これはひき逃げの被害者の女の子が、容疑者に送ったものと判明する)
ま、こういったことはいいとして、一番気になるのは、被害者の庭やひき逃げ現場に容疑者が植えたという「なでしこ」。万葉集時代に「なでしこ」といえば、「かわらなでしこ」のことなんですが、植えられていたのは明らかに「かわらなでしこ」ではなくて、「せきちく」(石竹、唐撫子)。