吉田玉男氏逝去

 人形浄瑠璃文楽人形遣いの第一人者で、人間国宝吉田玉男(よしだ・たまお、本名・上田末一=うえだ・すえいち)さんが24日、肺炎のため死去した。87歳。
 告別式は親族のみで済ませ、後日、文楽協会葬を行う予定。喪主は妻の上田ユキエさん。

http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20060924i112.htm
 合掌。ご冥福をお祈りいたします。
 「今回の公演を逃したら、もう二度と吉田玉男の徳兵衛は見られない」と人から言われて『曽根崎心中』を見て感心して以来、結局、三回見ることができたのですが、遂に、本当に見られなくなってしまいました。徳兵衛がお初の着物の下で足首をとるシーンや、忠臣蔵での切腹した小刀を見て肩を震わせる由良助のシーンなどなどは、本当は人形じゃなくて生きているのではないかと思わせる繊細な動きでしたね・・・。
 とはいえ、最近は本当に身体が弱っていたように見えました。一、二年前でしょうか、『俊寛』をやったときは、最後は腋を抱えられながら退場したんですよ。胸が痛かった。

此の世のなごり、夜もなごり。死に行く身をたとふれば、あだしが原の道の霜。一足づつに消えてゆく、夢の跡こそ哀れなれ。あれ数ふれば暁の、七つの時が六つ鳴りて、残る一つが今生の、鐘の響きの聞きをさめ。寂滅為楽と響くなり。