『廃競馬場巡礼』

廃競馬場巡礼

廃競馬場巡礼

 血統や過去のレースをフォローする人は多いでしょうけど、やはり競馬に携わる者として、競馬場の歴史や制度史もちゃんと勉強しなくてはいけないな、と思うことしきり。
 巻末の「全国競馬場一覧」を見て、戦前は昭和13年頃まで、そして戦後は昭和30年代まで、全国各地でこんなに公営競馬が行なわれていたのかと正直驚きました。みなさまのご実家の周辺にも、きっと競馬場があったに違いありません。廃競馬場の多くは、今では跡形もなくなっているわけですが、それでも、住宅街のゆるやかなカーブの公道が、実はかつての第4コーナーの名残りをとどめているものだったりするとかで、結構感慨深いものがあります。
 制度史を勉強しなきゃいけない、と申し上げましたが、恥ずかしながら本書で初めて知ったことを一つご紹介。

 JRAにとって、今も宮崎競馬場はなくてはならない存在である。(中略)
 その理由とは。
 JRAでは平成18年現在、1年間に延べ288日の競馬が開催されている。これは法律で定められている最大限の開催日数である。その288日の根拠というのは次の通りとなっている。
 ・競馬の開催は1開催を8日間とする
 ・競馬の開催は1つの競馬場で年間3回まで開催できる
 ・やむをえない理由で開催ができない場合は、他の競馬場に開催を振り替えることができる
 ・競馬を開催できる競馬場は、札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、横浜、中京、京都、阪神、小倉、宮崎である
 つまり、年間288日間の開催ができる根拠は、8日間×3開催×12競馬場。横浜競馬場と宮崎競馬場は、競馬が開催されなくなって久しいにもかかわらず、〝生きている競馬場〟なのである。
 逆に言うと、この2つの〝競馬場〟がなかったとしたら、いわゆる裏開催が今よりおおむね半年分も少ないという計算になってしまうのだ。いま一度リスペクトしたい気持ちもわかっていただけるだろう。
 ということなので、宮崎競馬場に〝廃競馬場〟というくくりでご登場いただくのは申し訳ない気もするのだが、かつて競馬が行なわれていたということでラインナップに加えることにしたい。  (116〜117頁)

 ( ・∀・)つ〃∩ へぇへぇへぇ
 ちなみに、宮崎競馬場は今は宮崎育成牧場に、横浜競馬場は、言うまでもなく現在は根岸競馬記念公苑となっています。